【ぶんぶ文庫】米澤穂信「氷菓」「愚者のエンドロール」古典部シリーズ
高校の古典部を舞台とした物語です。
古典部って?と疑問に思うかもしれません。
この高校にはマイナーな文化部が乱立していて、
古典部もその一つ。
これと決まった活動があるわけではなく、
部員たちの自主性に任されています。
部員も1年生だけ。
というか、1年生が入部するところから、
この物語は始まります。
著者はミステリ作家の米澤穂信さん。
1978年岐阜県生まれとのことなので、
この高校の所在地は岐阜なのかなと想像してしまいます。
しぐれのおにぎりなんて出てくると、
東海地区にしか無いものだけに、
やっぱりそうだと一人頷かされます。
名古屋から近いだけに、自身の高校時代とオーバーラップします。
そんな舞台で繰り広げられるのは、日常の謎解き。
高校生活の中で起きるふとした疑問、謎。
それを主人公をはじめ古典部の面々が解き明かしていきます。
面白いのは、謎はすべて解けた!と鼻息荒くでなく、
どちらかというと腰が引け気味なのに、
受けざるを得ず探偵役を控えめに務めるところ。
古典部それぞれのメンバーのキャラクターが立っていて、
自分だったら、誰に近いだろうと想像させられます。
この物語を読んでいると、いつの間にか、
彼らの仲間として日々を送っている感覚になります。
自分の日常とは違う日常、仲間、場所。
小説の喜びはそうしたものを持てることかもしれません。
あなたも束の間、古典部の一員となって、
謎解きしてみませんか!?
[2023-06-08]